序章

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新道無念流の塾頭を務めてはいたがあまり強くはない。だが統率力はありそれで塾頭に抜擢されたらしい そのことは周知済みで確かに否がない男だ 「アイツの情報網はすげぇからなぁ。まぁ小十郎は大丈夫だろ」 伊藤も楠と同じくらいに肌が白く捉えようによっては青白い 二人とも日焼けがしにくい体質らしく、焼けても赤くなるだけだ 毒舌でドス黒い腹をしているが決して嫌われているわけではない。彼の情報網は凄く、慣れたりすれば仲良くなれる 「――――失礼します桂センセ」 均等に取れた長い四肢に纏う藍色の着流し、焦げ茶色のしっぽ髪 ややつり目の両方にある泣き黒子が色気を漂わせる青年 佐々木愛次郎。 「はりゃ、吉田センセも居たんですか」 「いたぞーサッチン」 「そないなダサい愛称で呼ぶんやめて下さい。ぶん殴りまっせ」 「ダサくないし!!」 大坂生まれで訛りある喋りで咎めるとプクーと頬を膨らませた吉田を無視して楠と桂の前に座る 「壬生浪士組ですけど、なかなか尻尾掴めれまへんわ」 「ただの農民たちの集まりかと思っていたが手強いね」 「つーか壬生狼なんかどうでも良いじゃん。ただの使い捨ての駒集団なんだし」 「それでも、やはり強い者は強いよ」 「ふーん。俺、原田と殺ってみたい。俺と原田のどっちが強いかねぇ」
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