序章

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文久三年 弥生に上京した壬生浪士組に佐々木はそこで間者として入隊した 「吉田センセと原田?ははっ、どっちもどっちでっしゃろ。アホな事考えずにセンセは幕府を潰すだけを考えて下さい」 「サッチンが冷たいよ小十郎」 「コウに振らんで下さい。そうそう桂センセ、コウはいつこっちに来させるんでっか?」 佐々木に続いて楠も近い内、壬生浪士組に間者として入隊する 「そうだね、小十郎、いつに行きたい?君の好きな時に行ったら良いよ」 ************** 「コウ」 「ん?なにアイジ」 「本間に来るんか?」 楠は愚問だと笑う 「俺は本気だよいつでも。先生にこの名をもらってから、俺は先生に従う。先生たちだけは俺を裏切らないから」 「さよか……辛くなったら僕に言いや?」 「アイジこそ、あぐりのことで泣きたくなったらいつでも言いなよ」 ボンッなんて音が聞こえそうなくらいに佐々木は顔だけに留まらず耳、首も赤くする 佐々木の恋仲である、あぐり。京の人間でなのに気が強く佐々木に対して突っ慳貪な態度 それが恥ずかしさからくるものだと知っているのは本人と楠だけ 「あぐりって僕のこと本間に好きなんかな……」(乙女か) 見た目は歌舞伎者なのに、それに反して心根は優しい佐々木に楠は苦笑いを浮かべる
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