第一章

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水無月下旬 蒸し暑さを残して梅雨が晴れた だがそんな蒸し暑さを感じさせないほど、楠は涼しい顔で前を見据えていた 「楠小十郎、か」 (ふーん、これが壬生浪士組副長、土方歳三か。桂先生とは違った美形だな) 前髪を後ろにやり、肩につくかつかないか位に髪を切り揃えて切れ長の男性 壬生浪士組副長 土方歳三の印象はその程度である 土方の左隣には項の所で髪を結いいかにも優男な容姿に雰囲気をした男性 同じく副長の山南敬助 その隣には太めの眉に角張った顔立ちをした局長 近藤勇 「よく来てくれた楠くん!俺は近藤勇だ!これから共に頑張ろう!!」 武骨そうな容姿と異なり、近藤は楠の手を取り握り締めニコニコと笑う 「近藤さん、彼が困ってるよ」 「あ、すまない!つい嬉しくって……」 苦笑いの山南に咎められ手を離し頬をポリポリ掻く 「………いえ、よろしくお願いします近藤局長、山南副長、土方副長」 笑みを張り付けるのには馴れた。だが、目を潤まして抱き着かれたことには馴れなかった 「近藤さん、此処に土方さんが……っと客がいたのか」 佐々木より背があり、引き締まった体躯で均等にとれた長い四肢 髪はザンバラに切られているが洒落っ気があって良い
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