第1章

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「誰がおまえの言いなりになんかなるかっ!離せったら!」 不屈の反抗心を胸裏に燃やして、美緒都は激痛にあえぎながら、キッと男を睨みつけた。 「ふ、いいだろう。おまえの立場をじっくり思い知らせてやる」 切れ長の双眸に残忍な光をきらめかせ、男は素早く美緒都の腹に拳を叩きこんだ。 「ぐっ……!」 一瞬、息が詰まり、美緒都は顔を歪めて男の腕の中に崩れ落ちた。 華奢な肢体を軽々と抱きあげて、男は螺旋階段を昇り、扉が開け放たれた2階の一室に美緒都を運びこんだ。 広々とした豪奢な部屋……しかし、等間隔を置いて並んだアーチ型の窓からは、白い霧しか見えない。 きらめくシャンデリアが煌々と室内を照らしているだけで、家具らしきものは何も置かれていない。 男は、天井からさがる太いロープで美緒都の細い手首を縛った。 美緒都ははりつけの格好で、部屋の中央に固定された。 「……くっ……!」 背中からも胸からも、そして、刔るように殴られた腹からも激痛が伝わり、美緒都は半ば朦朧となりながら、絶え絶えにあえいでいた。 男は、美緒都のシャツをナイフで切り裂いた。 白い肌に纏わり付くシャツの残骸を無造作にむしり取ると、男は両手を胸の高さに掲げた。 掌から、まばゆい光がほとばしる。 眩しさに、美緒都は目を細めた。 光が消えた時、男の手に奇妙な物が出現していた。
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