222人が本棚に入れています
本棚に追加
「誰がおまえの言いなりになんかなるかっ!離せったら!」
不屈の反抗心を胸裏に燃やして、美緒都は激痛にあえぎながら、キッと男を睨みつけた。
「ふ、いいだろう。おまえの立場をじっくり思い知らせてやる」
切れ長の双眸に残忍な光をきらめかせ、男は素早く美緒都の腹に拳を叩きこんだ。
「ぐっ……!」
一瞬、息が詰まり、美緒都は顔を歪めて男の腕の中に崩れ落ちた。
華奢な肢体を軽々と抱きあげて、男は螺旋階段を昇り、扉が開け放たれた2階の一室に美緒都を運びこんだ。
広々とした豪奢な部屋……しかし、等間隔を置いて並んだアーチ型の窓からは、白い霧しか見えない。
きらめくシャンデリアが煌々と室内を照らしているだけで、家具らしきものは何も置かれていない。
男は、天井からさがる太いロープで美緒都の細い手首を縛った。
美緒都ははりつけの格好で、部屋の中央に固定された。
「……くっ……!」
背中からも胸からも、そして、刔るように殴られた腹からも激痛が伝わり、美緒都は半ば朦朧となりながら、絶え絶えにあえいでいた。
男は、美緒都のシャツをナイフで切り裂いた。
白い肌に纏わり付くシャツの残骸を無造作にむしり取ると、男は両手を胸の高さに掲げた。
掌から、まばゆい光がほとばしる。
眩しさに、美緒都は目を細めた。
光が消えた時、男の手に奇妙な物が出現していた。
最初のコメントを投稿しよう!