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「私に服従を誓うか?そうすれば、許してやる」
男の双眸が、勝ち誇ったようにきらめく。
それを目にして、美緒都の胸に再び怒りの火がついた。
「誰がっ!死んでも、おまえに服従したりするもんかっ!」
「ふ、いいだろう。その強がりがどこまでもつか、とくと見せてもらう」
残酷な微笑を唇に刻み、男は蔓を美緒都の体に巻きつけ、きつく縛った。
「あっ……!」
胸の傷にきつく棘がくいこみ、美緒都はびくんとのけぞった。
こらえようとしても、呻き声が漏れる。
「……あっ……うっ……!」
柔らかな栗色の髪をふり乱し、ほっそりした肢体をのたうたせて、美緒都は苦痛にあえいだ。
男はさらに、美緒都の体中に棘のついた蔓を巻きつけ、きつく縛りあげた。
鋼の硬さを持つ棘が体中にきつくくいこみ、美緒都は華奢な肢体をよじって悶え苦しんだ。
あまりの激痛に、目が眩む。
「……あっ……あっ……!」
いやいやをするようにかぶりをふり、美緒都は綺麗な顔を歪めてもがいた。
わななく唇から、切れ切れの激しいあえぎが漏れる。
凄まじい激痛に、美緒都はほとんど息もできなかった。
「……うっ……くっ……!」
目も眩む激痛の底で、ふいに、美緒都の脳裏に、二人の少年の顔が浮かんだ。
それが誰なのかわからないのに、美緒都はその二人に助けを求めていた。
確かに、彼らは、美緒都に近しい者のような気がした。
心に浮かんだ彼らの名前を胸の中で叫びながら……美緒都は激痛に霞む眼差しで男を睨みつけた。
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