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ひんやりした大理石の床の感触が、美緒都に、自分が素足なことを思い出させた。
立派な城だ。
高い天井から重そうにさがる幾つものシャンデリア、幅の広い大理石の螺旋階段、奥の壁に並ぶ精緻なレリーフが施された扉。
カツン!
ふいに、硬い靴音が響き、美緒都はびくっと身をすくませた。
螺旋階段を、長身痩躯の人影が降りてくる。
逃げろ!
早く!
あいつに捕まったら……
再び、心の奥が不穏にざわめいた。
しかし、美緒都は金縛りにあったように動けなかった。
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