第1章

5/11
前へ
/108ページ
次へ
「私は、綺麗な少年が好きだ。そう、ちょうど君のようなね」 かすかに笑みを含んだ声で言いながら、男はゆっくりと近づいてきた。 美しい男だった。 西洋の血を感じさせる白い肌。 鋭い光をたたえた切れ長の双眸。 まるで吸血鬼のような漆黒の長いローブが、よく似合っている。 氷の美貌という言葉がぴったりの、冷ややかな容姿だった。 年は二十歳そこそこにも、30才ぐらいのようにも見える。 すらりとした長身の肢体から、抗いがたい威厳のようなものが漂っていた。 美緒都は声もなく、男をみつめていた。
/108ページ

最初のコメントを投稿しよう!

222人が本棚に入れています
本棚に追加