utopia

名前

その次の日の事だった。

Ｋがまたやらかした。

仕事直前に調子が悪くなっただとかで電話をよこした。

「具合悪いのならば仕方ない、変わりを今から探せたら探してくれ、こちらでも探してみるから」

とは言ったものの、なかなか忙しく、次のマネージャー(女)にその事を言った。

だがＫは仕事時間に間に合うように来たのだった。

ほっとしていたのだが、Ｋがなかなか仕事をしに来ない。

何だろう？具合が悪くなったのだろうか？と事務所を見に行ったらＫの姿はなかった。

意味が分からずそこにいたマネージャーに聞くと、「休むような事を言っておいてからノコノコ来て、ムカつくから帰した」と。

それはないんじゃないですか？

とは言えなかった。

だってこの女怖いんだもん。
通常状態がキレてる状態といっても過言ではない位いつもよくキレる。
うん。元気いっぱいでいいと思います！
だが私が事務所にいればこの女を宥められただろうしＫの気分を害す事もなかっただろうと思った。

せっかくＫは来てくれたのに…なんだかＫが可哀想になった。

この女…ほんと怖えぇな。女を尻目に携帯を持ち外に出る。

Ｋにかける。

何コールめかでＫが出る。

「はい。誰？」

「私だ。今日は頑張ってせっかく来てくれたのにすまなかった。私が事務所にいたらお前を帰したりしなかったんだけどな。Ｘ(マネージャー)には私からも言っておくけど、お前も謝れよ。彼女もああいう性格だ。きっと今頃反省してるよ」
などと喋っているうちにＫの声が弱々しくなり、鼻を啜っていた。

「これで辞めようと思わずに来て欲しい」
純粋にそう思った。

その次の日も変わらない感じでＫが出勤してきた。

若干うざい位元気だったのだがＫがある日私に語った。

「俺、何か取り憑かれてるらしいんすよ」

「まじでwざwまwあw」

「いや本当なんすよ」

「女の霊だろwいいじゃん飼えば？」

あれ？

「女の霊っすね」

なんだこの

「一応3Ｄだろw」

デジャヴ

「霊がついてるって色んな人に言われるんすよ！」

てか自分

「へぇw」

前にこんな事あったの

「だから寺に行きたいんすよ」

忘れてたのか？

「寺なら、知ってるぜ」