名もないあの島で

出会い

「こんなとこでどうしろって言うの?」

新しい自分達の家を見て、真湖はまた叫んだ。

「真湖ねぇが、叫ぶのも分かるなー。確かにこんなボロアパートは…ね。」

3姉妹がこれから住む家。
それは、今までより古い築53年のアパートだ。
アパートと言っても、全室空き部屋で全ての部屋を使える事になっている。

「ま、確かにツッコミどころがあり過ぎてツッコミきれないけど、これなら相手にバレる事はないんじゃない？」

椢が、サラッと家を貶した。

「「そうだけど…。」」
真湖と奈胡が声を揃えて言った。

「なら良いだろう。さ、入るぞ～。」

馨が威勢良く言うと、椢は自分の荷物を持ちスタスタと歩いて行ったが、真湖と奈胡は、少し遅れて入って行った。