プロローグ─出逢いは春風とともに─

5/12
前へ
/12ページ
次へ
きっと幽霊だの、みんなと違う世界の中心に立つ自分だの、そういった妄想にも似た憧れは誰だって持っていたんだろう。つか俺だけじゃないと思いたい。 いつの間にか気付く、いや、きっと最初から気付いていたんだろう。アニメや特撮で出てくるヒーローにはなれっこしないってことは。 気付きたくない一心で、幼稚園や小学校の帰り道で、友人を悪役に見立ててみたり、見えない悪の組織と戦って空気を必死に木の枝で引き裂いていたんだろう。 修行と称してシャワーに打たれても舞空術は使えないし、手からビームは夢でしか出たことない。自称幽霊が見える友人も、成長してから問いただしたらただ目立ちたいだけで見えてなどいなかったんだと。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加