プロローグ─出逢いは春風とともに─

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そいつからそれを聞いたときは中学も卒業間近だったんだが、それはもうガッカリした。というのも、そいつのそれだけが俺に残された唯一身近にある変な能力で、不思議だったからだ。 つまり、ヒーローなんてのも結局は不思議のひとつで、幽霊や超能力みたいなのと同じで決してなれない、架空のお楽しみだったってことがバカな俺でもわかったってわけだ。 ガッカリした、とは言ったがそこまでショックではなかった。 さっき言ったように、やっぱり気付いていたからなんだろうな。なんだかんだ普通が一番、別にいつまでも幼い憧れに縛られるほどガキじゃないさ。 でもやっぱり不思議な何かは起きてほしい、そんな自分でもわけわからん矛盾を心の端っこにかかえながら、俺は高校生になるのだった。
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