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そんな事を考えては二本目のタバコに手を付けようとした時、その中身はもう殻だと云う事に気付けば床に落ちている無造作に広がった焦げ茶色のコートを羽織り財布をポケットに突っ込むと俺はそのまま玄関へ向かう。
「……うう寒い、もう春に近いってのにやけに寒いな。俺が寒がりだからかな」
少しドアを開ければ冷たい風が隙間から入って来て慌てて外に出る。コートの襟を立て一度だけ身震いするとドアに鍵を掛けようとしたその時、俺の視界にとんでもないモノが飛び込んで来た。
「んっちゃ、おにいたん」
壁にもたれ掛かりまるで俺を待って居たと言わんばかりにソイツは俺の方を見上げてはニコッと可愛らしい笑みを浮かべて俺に話し掛けて来たものの……。誰だこの餓鬼?
「おいおい。誰だよお前」
「おにいたん、おにいたん」
「っあ、おい!引っ付くなコラ」
「へへっおにいたんあったかい」
俺の言葉を余所にこの幼稚園児のような餓鬼は俺の脚に纏わり付いては何度も何度も頬を擦り付けて来やがる。
つーかマジで誰だよコイツ。もう夜の9時だぞ?こんな時間に迷子ってのも変だろ普通。
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