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それにしてもこの餓鬼、やけに薄着だな。寒くないのか?
「っくちゅん……へっちゅん」
「………………寒いのかお前?」
「へへっしゃむいしゃむい」
小さな指で鼻を摩るこのジョーと云う餓鬼をとりあえず玄関の中に入らせては俺はタンスの中を漁った。つーかグチャグチャだなこのタンス。
「おおー!しぇまいねこのおへや。ねえ、なーたん」
「狭いとか云うな糞餓鬼。贅沢な野郎だぜ全く…………って!何勝手に入って来てんだよ!」
チラッと後ろを振り返ればちゃっかり靴を脱ぎ捨て大きく手を広げ「とりしゃんのまねー」と、俺の元に突進して来たジョーの服の襟をヒョイと掴むと何故か楽しそうにジタバタするコイツを見てほんの少しだけ頬が緩んでしまう。
「いいかこのアパートの管理人は鬼のような奴なんだ。あんまり騒いでっと『ちょっと五月蝿いよアンタ!何騒いでんだい!』ほーらな?」
下から聞こえる声に人差し指を向け小さな声でそう云うと『かいじゅうさん、シー』と小さな口に自分の人差し指を一本立てるコイツの頭をとりあえずワシャワシャしておいた。
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