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     太陽がおはようと顔を出し、約大半の人が起き出して活動をする時刻。 まだ春先という事もあり夏のような寝苦しさ、冬のような肌寒さもなく一番起きやすい季節。 だが、こんな早朝にもかかわらず鳳来(ホウライ)魔術高等学校の敷内のある一室に一人の生徒が立ち入っていた。 その一室は多数の書籍が縦8段にくぎられた本棚に並んでおり、二階建ての東京ドームの半分位の大きさの部屋に壁ぎわに見渡す限りならんでおり、その中心に8人掛けの長方形の木造りの机が13置かれていた。  そして、そこの一番太陽の光が当たっている場所に濃い緑色をした学ランを着たその少年は腰掛け本を読んでいた。 来ている学ランの胸ポケットに青い線の刺繍が一本入っている所を見ると一年生のようだ。 二年なら赤、三年なら緑となっている。 目に掛かるかかからないか位に伸びた茶髪がかった黒髪に、緑のふちの眼鏡をかけており、それ以外は特徴のない顔。 しいてあげるというなら、中立的な顔をしている位だろうか。 静寂な空気をスライド式の扉を開ける音がしたかと思ったら女性が入って来た。彼女は数秒図書館を見回し彼の姿を見て少し声を挙げた後に彼の所に歩き出した。 「…………あの、入学式は9時からなんですけど」 その女性は多少おどおどした声で彼に話し掛けた。 彼女はお嬢様を思わせる程のピンクのドレスに綺麗な青色のロングヘアーを宙になびかせていた。
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