かりそめの『時間』

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タッチパネルを操作する私を黙って見ていた日照くんが 「すげ」 ボソッと呟いた。 ギャルはプリを撮り慣れてるもんなんだよ。 プリいっぱい撮りまくってるから。 私もギャル仲間と撮ったプリを、手帳にこれでもかってくらい貼ってる。 もちろん中にはギャル仲間の彼氏とか、その彼氏の友達とかも一緒に写ってるのがあるけど。 男の子とのツーショットって実は初めて。 まぁでも罰ゲームだしね。 「始まるよ」 声をかけてカメラを見るけど、日照くんはボーっと突っ立ってる。 「3Dメガネ写すんじゃないの?」 その様子にちょっと笑いながら、私だけ3Dメガネをかけて1枚。 メガネを外して、代わりに日照くんにかけてあげて1枚。 日照くんの顔に自分の顔を近付けて、顔を寄せ合って1枚。 「日照くん、全部顔いっしょ!!」 ダメ出ししながら笑いが止まらない。 ドヤ顔でもなく、キメ顔でもなく、こんな無表情でプリ撮る人とか初めてだよ! 「いっそ、ちゅープリでも撮っとく?」 ノリで冗談を言ったら、驚いたみたいに目を見開いて見られて私のほうがビックリした。 「冗談だよ」 笑って流して、油断した日照くんの頬にちゅーした・・・ように見えるのを1枚。 あとは普通に並んで2枚。 合計6枚のプリの撮影が終わり、撮影ブースを出て今度は横のプリ落書きブースに日照くんを連れて行く。
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