かりそめの『時間』

7/8
前へ
/44ページ
次へ
さっき撮ったばかりのプリに、証拠になるように今日の日付を書き込む。 それ以外の落書きはせずに終了ボタンにタッチすると、プリントされるのを待つようにメッセージが流れた。 落書きブースを出て、プリが出てくるのを待つ。 意外に時間がかかるんだけど・・・なんて説明すると、ずっと黙っていた日照くんが口を開いた。 「いつもプリクラ撮ってんの?」 「プリ?うん、よく撮るかな」 「さっきみたいに?誰と?」 日照くんがプリを撮り慣れてないことは、もう十分わかってたから、いろいろ不思議なんだろう。 「うん。誰とって・・・友達とか?」 「友達とかって、友達以外は誰と?」 「えー?知り合った人とか」 そう答えた時、日照くんが低い声で 「そういうの、やめろよ」 早口に言った。 さっきプリ撮るときに馴れ馴れしくしたから怒ったのかな、とちょっと焦る。 「ゴメン。ちょっと馴れ馴れしかったよね」 へらりと笑って謝ると、さらに早口で 「ギャル似合ってない。ノリが軽いの苦手なくせに」 決めつけるように言われた。 昨日の兄貴みたいなことを、日照くんまで言う。 「似合ってなくても好きでやってんの。ほっといて」 イラッとして私まで早口で言った。 ギャルが似合ってないからって誰にも迷惑かけてないじゃん。
/44ページ

最初のコメントを投稿しよう!

320人が本棚に入れています
本棚に追加