320人が本棚に入れています
本棚に追加
日照くんが思ったより話すから、相槌をうたなきゃって気持ちになったのかも。
口を挟んだタイミングが悪かったのか、ジッと日照くんに見つめられる。
居心地の悪い思いをしながらその目を見返してると、ちょっと躊躇う素振りを見せてから
「妹を守れ、どうにかしろって」
ぽつりと言った日照くんに無性に申し訳ない気持ちになった。
兄貴が、それよりもっと私が
「・・・ごめんなさい」
だ。
同じクラスだったってだけで迷惑かけた。
深々と頭を下げてから顔を上げると、日照くんが困ったような顔で
「悪かった」
私に頭を下げた。
びっくり。
もう時間が止まったみたいにびっくり。
びっくりしすぎて何も言えずにいたら、日照くんまで黙った。
「お待たせいたしました」
そこへ空気は関係なしに運ばれてきた料理。
たぶん店員さんはこの微妙な空気に気付いただろうけど、気にしない風に2人分の料理をテーブルに置き
「ご注文は以上でよろしいでしょうか?」
定番の確認を口にした。
黙って頷くと、返事の代わりと受け取ってくれたのか
「ごゆっくりどうぞ」
これまた定番の言葉と伝票を置いてテーブルから離れていった。
最初のコメントを投稿しよう!