かりそめの『過去』

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日照くんが思ったより話すから、相槌をうたなきゃって気持ちになったのかも。 口を挟んだタイミングが悪かったのか、ジッと日照くんに見つめられる。 居心地の悪い思いをしながらその目を見返してると、ちょっと躊躇う素振りを見せてから 「妹を守れ、どうにかしろって」 ぽつりと言った日照くんに無性に申し訳ない気持ちになった。 兄貴が、それよりもっと私が 「・・・ごめんなさい」 だ。 同じクラスだったってだけで迷惑かけた。 深々と頭を下げてから顔を上げると、日照くんが困ったような顔で 「悪かった」 私に頭を下げた。 びっくり。 もう時間が止まったみたいにびっくり。 びっくりしすぎて何も言えずにいたら、日照くんまで黙った。 「お待たせいたしました」 そこへ空気は関係なしに運ばれてきた料理。 たぶん店員さんはこの微妙な空気に気付いただろうけど、気にしない風に2人分の料理をテーブルに置き 「ご注文は以上でよろしいでしょうか?」 定番の確認を口にした。 黙って頷くと、返事の代わりと受け取ってくれたのか 「ごゆっくりどうぞ」 これまた定番の言葉と伝票を置いてテーブルから離れていった。
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