かりそめの『過去』

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「亘夜先輩に言われるまで、同じクラスでお前がハブられたりしてんの、知ってて放ってた」 「うん仕方ないと思う。私、暗かったし存在薄かったし」 「そうじゃなくて。亘夜先輩の妹だって知らなかった」 「似てないからね」 「・・・亘夜先輩の妹ってわかるまで興味もなかったし」 「それも仕方ないと思うよ」 女子が中心のイジメに男子は興味なさそうだった。 でも一緒になってイジメたりしなかっただけで、私にとってはありがたかった。 「今更だけど、ありがとう。あの時助けてくれたのは日照くんだけだった」 罰ゲームだったとしても。 兄貴の命令だったとしても。 助けてくれたことには感謝した。 あれから腫れ物に触るような扱いになったけど、あからさまなシカトはされなくなったから。 あの時は神様かヒーローくらいに思った。 まぁ、兄貴の命令だったって分かるまでは。 でも助かったのは事実だし、日照くんに謝られても困る。 「それから」 そこまで言って言葉を切った日照くんに、まだ何かあるの?ってドキッとした。 普段あんまり喋らない人って、本当は言いたいことをいっぱい溜め込んでるのかもしれない。 それくらい、今の日照くんはいっぱい喋ってる。
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