320人が本棚に入れています
本棚に追加
「亘夜先輩の妹って知ってからなんか気になって」
「うん」
私も助けてもらってから、なんだかんだ日照くんが気にかかったもん。
わかるわかる。
「同じクラスになるし」
「あ、それ私も思った」
「・・・ギャルになってるし」
「うん、高校デビュー。暗いのとか存在感ないのをなんとかしようと思って。ブスは変わんないんだけどね」
一生懸命に話す日照くんにリラックスしてきたのか、私のほうはすんなり喋ってる。
日照くんは私から見ても言葉探しに必死だし。
「ブスじゃないし暗くない。クソ真面目なだけだろ」
「それを暗いって言うんじゃないの?」
思わずへらりと笑うと、ギッと睨まれて
「笑うな。お前、学校でいつもそんな情けない笑い方してる」
強くハッキリ言われた。
「笑ってた方がいろいろスムーズなの」
笑う理由をちゃんと話したのに、私を見下ろして
「笑ってる奴は傷ついてない、なんて思わない」
強く言ったあと、ちょっと迷って
「亘夜先輩がブスって言ってんのは、その笑い方してる時。お前が無理してるからだろ」
そう付け加えられた言葉に、私の記憶にある『過去』が、現在との間で行ったり来たりし始めた。
最初のコメントを投稿しよう!