かりそめの『過去』

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「亘夜先輩の妹って知ってからなんか気になって」 「うん」 私も助けてもらってから、なんだかんだ日照くんが気にかかったもん。 わかるわかる。 「同じクラスになるし」 「あ、それ私も思った」 「・・・ギャルになってるし」 「うん、高校デビュー。暗いのとか存在感ないのをなんとかしようと思って。ブスは変わんないんだけどね」 一生懸命に話す日照くんにリラックスしてきたのか、私のほうはすんなり喋ってる。 日照くんは私から見ても言葉探しに必死だし。 「ブスじゃないし暗くない。クソ真面目なだけだろ」 「それを暗いって言うんじゃないの?」 思わずへらりと笑うと、ギッと睨まれて 「笑うな。お前、学校でいつもそんな情けない笑い方してる」 強くハッキリ言われた。 「笑ってた方がいろいろスムーズなの」 笑う理由をちゃんと話したのに、私を見下ろして 「笑ってる奴は傷ついてない、なんて思わない」 強く言ったあと、ちょっと迷って 「亘夜先輩がブスって言ってんのは、その笑い方してる時。お前が無理してるからだろ」 そう付け加えられた言葉に、私の記憶にある『過去』が、現在との間で行ったり来たりし始めた。
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