かりそめの『未来』

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「さっき言った。気になりだしたって。ずっと気になってた」 無表情な日照くんの顔がちょっと赤い気がする。 「亘夜先輩にずっと頼んでて、昨日やっと許可もらった」 たぶん私も顔が赤いと思う。 「亘夜先輩が今日合コンらしいって言うから、慌てて追っかけたし」 いろんなことがいっぺんに自分に起きてるんだってわかってる。 ありえない!って数時間前なら叫んでると思う。 でも、今の私は待ってる。 「ずっと好きだった。誰でもいいから彼氏がほしいっていうなら、俺にして」 胸がギューッてなるこの時間を待ってた。 かりそめの味方だと思ったけど、それでも日照くんは神様みたいだったし、ヒーローだった。 だから、絶対に人に知られちゃいけないって思ってた。 イジメられるような私が、誰かを好きだって人に知られちゃいけないって思ってた。 誰かに好きだって思ってもらえるなんてそれだけで嬉しいのに、日照くんに言われたら嬉しさで心臓が止まりそう。 「誰でもいいなんて思ってない」 苦しくて泣けてくる。 「日照くんがいい」 泣けてくるんじゃなくて、泣いた。 「日照くんがずっと好きだった」 苦しくて泣いた。 いろんなことが胸を苦しくして、意味もなく泣けた。
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