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俯いて泣く私の頭を、しゃがみこんだ日照くんが胸に抱えてくれる。
その不器用そうな仕草に、ちょっと笑うと涙が落ち着いた。
きっとメイクも落ちてひどい顔になってると思うと、とてもじゃないけど顔を上げられないのに
「無理に笑うくらいなら泣いてくれたほうがまし」
そう言って抱えたままの私の頭をギュッとしてくれた。
でも、このままの顔じゃ電車にも乗れない。
落ち着いた私は、駅のトイレでメイクを直して日照くんと2人で電車に乗った。
行きとは気持ちも関係も全然違うことに恥ずかしくなったけど、日照くんは相変わらず手首を掴んで離してくれない。
電車の中も帰り道も、今まで無口だった日照くんがポツポツ思ってることを喋ってくれた。
ギャルってる私はちょっと嫌だとか、合コンに行ってるのが嫌だったとか、ちゅープリは誰と撮ったのかとか。
それに1つずつ答えていった。
ギャルはやめるってことと、合コンは付き合いのつもりだったことと、ちゅープリはギャル友が知り合ったばっかのイケメンと撮ってるのを見てただけだとか。
そうして家に着くと、一緒に入ろうとするから
「なんで?」
訊いてみると、兄貴に今日の報告をするように言われてるらしい。
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