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そうなんだ、と家に入ってみたら、ドアの音で兄貴がリビングから勢いよく顔を出した。
私の隣に日照くんがいるのを見てニヤリと笑うと
「おかえり」
私じゃなく日照くんに向かって言う。
「ただいま」
意地で私が言ってやった。
リビングに入ると、兄貴の友達はみんな帰った後なのか誰もいなかった。
親も出かけてていない。
「どうだった?」
兄貴の声に兄貴を見ると、ニヤニヤしたまま手を差し出してて、日照くんが財布にしまってたらしいプリクラを取り出して兄貴の手に載せる。
あの時は罰ゲームだと思ってたからいらないって渡したプリクラも、今だったらすっごくほしい。
まさか兄貴に全部持っていかれやしないかと心配で見ていたら
「で?」
兄貴が日照くんを促した。
「付き合うことになりました」
ペコッと小さく頭を下げて日照くんが言う。
私がなぜか照れる。
その瞬間、
「あ?尋輝、おまえ誰がそこまで許したよ?」
ドスの効いた兄貴の不機嫌MAXな声がする。
兄貴を見ると、日照くんを睨みながらいきなり拳骨で頭を殴りつけた。
痛そうなゴツッという音に、日照くんが片手で頭を押さえる。
「ちょ兄貴!」
慌てて兄貴と日照くんの間に入ると、怖い顔から一転、私に笑って
「こいつ、中学のころからずっと俺にお前のこと聞いてきてた。お前のストーカー」
そう言ったあと、
「いい彼氏になると思うぞ。ダメな奴だったらチクってこい」
私の後ろの日照くんを指差した。
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