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ちょうど100日経った頃、とうとうバケツは我慢できずに叫びました。
「なぜだ?なぜ人間は僕を迎えに来ないのだ?僕はこんなにも綺麗なのに、僕は一番なのに、どうしてなんだ?」
その時、バケツの所に一人の男の子がやって来ました。
男の子は、バケツがひとりぼっちになってから始めてやって来た人間でした。
男の子は言いました。
「君は何故、そんなに叫んでいるの?」
バケツは言いました。
「誰も僕の価値を理解してはくれないからさ。」
男の子は言いました。
「君の価値は一体何?」
バケツは言いました。
「僕はこの世で一番綺麗なんだ。だから、その美しさが僕の価値さ。」
男の子はその言葉を聞くと、一つため息をつきました。。
「君は可哀想だね。」
バケツは気づいていなかったのです。
長い戦争のせいで、自分の体が汚れ、穴が開いていたことに。
お世辞でも、綺麗とは程遠い姿をしていたことに。
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