願い

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  ――自由になりたい。 僕はそんな叶うわけが無い願いを、高い天井を見上げながら何度も唱えた。 ここは、広いお屋敷の1室だ。 おっきいシャンデリアに、硬いけどピカピカで綺麗な床。 そこでは敷き詰められるようにして、たくさんの人形達が踊っている。 僕はそんな人形に囲まれて、飽きもせずにただ願いを唱える毎日を送っていた。 「貴方も一緒に踊りましょう?」 そんな声をかけられて、少しだけびっくりした。 全部同じ顔の人形しか無いと思っていたけど、そうじゃないのが混じっていたみたいだ。 でも僕は踊りたくない。だって、踊ったって自由にはなれないから。そう思ったけど、彼女はそんな僕の言う事なんて聞いてくれないだろう。 「フフフ、貴方はどんな踊りを見せてくれるの」 彼女はおかしそうに笑って、また言った。 「周りの人形達みたいに上手には踊れないよ」 皮肉を込めて、そんな事を言ってみる。 そしたら彼女はまたまた笑って、 「楽しみだなあ」 と、僕の背中を押した。
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