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そして、僕の踊りが始まった。
「貴方、あまり上手じゃないのね」
彼女はちょっと膨れっ面だった。
「だからさっき言ったじゃないか。あまり上手くないよって」
僕も少しムッと来たけど、踊りが下手なのは事実だ。だから否定は出来ない。
「でも、そこがまた良いっていうのもあるわよね」
なんだか嫌味にしか聞こえないな。
「周りのお人形さん達はみんな飽きちゃったから、こういう下手っぴなのもたまにはいいかなぁ」
なんだ、やっぱり嫌味か。
僕は今すぐにでも踊りを止めたい衝動に駈られた。
だって下手くそだから恥ずかしいし、つまらないし、こんな事してても自由になれないから。
でも僕には自由は無い。
だから僕は、ただひたすら踊り続ける。
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