願い

4/6
前へ
/6ページ
次へ
  僕が踊りを止めたのは、数分後の事だった。 僕が止まるのと同時に、音楽も止まる。 「これで満足かい? じゃあ、僕は休むよ」 「ダメダメ勝手に止まらないでよ」 彼女はまた、僕の背中を押す。 「貴方の踊りを、もう少し見たいわ」 「ちょっと待ってよ、そんな勝手な――」 「さあ踊って!」 背中を押さた僕は成すすべ無くまた踊る。 ふざけるな。僕は周りの人形とは違うんだぞ。周りの人形と同じように扱わないでくれ。 そんな事を考えていたって、踊りを止められるわけじゃない。 だから僕は考えるのを止めて、全て流れに身を任せて、踊る、踊る、ただ、踊る。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加