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ああ、なんでこんな事しなくちゃいけないんだ。嫌だ、嫌だ、自由にしてくれ。
もう満足だろ? いい加減にしてくれよ。僕はただ自由になりたいだけなのに、それさえ認めてくれないのか。
結局、5回も踊らされてしまった。
踊りたくないと何度叫んでも、彼女は聞く耳を持たず僕の背中を押した。
…………いや違う、押したんじゃない。
「もういいわ。貴方の踊りも飽きちゃった」
彼女はそう言って、ようやく僕を解放してくれた。でも、
「なら自由にしてくれないか」
僕がそう言っても、彼女はやはり聞く耳を持たず、
「貴方なら少しは楽しませてくれると思ったのにな」
不服そうに、そう言った。
「それは最初に言ったじゃないか。周りの人形達みたいに上手じゃないよって」
そう、僕は周りに散らばる、踊るためだけに作られた人形達とは違うのだから。
「でも一応、最後にもっかい踊ってもらいましょ」
彼女は最初とは打って変わったつまらなそうな手つきで、また僕の背中を押した。
いや、違う。
僕の背中を――回した。
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