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辺りの空気は凍った。
何が起きたか分からないのは源だ。
「…。」
わけも分からず頬を摩る源に尚は怒りをこめて口を
必死に動かした。
「あなっ!……た…の…
…力を……信じて……
…だかぁ………。」
尚は頭から倒れてしまう。
「尚!…。」
源は立ち上がった。
そして尚を見つめ、彼女を振り回してきた
自分を恥じて、今の自分をより恥じた。
涼風たちに聞こえるほどの歯軋りをし
勢いよく立ち上がった。
「…俺は死ぬわけにいかない!
絶対に治療薬を完成させる!」
源は涼風と父親に頭を下げた。
「すまない!
“尚のために”時間を稼いでほしい!!」
源は深く頭を下げた。
その数秒が長い長い時間に三人は刻まれた。
「…じゃあ……私が…君の名前を借りて
外に出よう。」
「!?」
「!?」
涼風と源は父親を見た。
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