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The Past
物心ついた時から見続けている夢がある。
その夢の中で、いつも俺は笑っていた。
大柄で筋肉質な親友。
丁寧な話し方なのに毒舌な同僚や、やたらと語尾をのばす話し方をする小柄な妹分。
「兄ちゃん」と言って慕ってくれる、真っ直ぐな目をした少年や、母親のような雰囲気を漂わせる女性。
数え切れないくらいの仲間達に囲まれ、いつも笑っていた。
そして、俺の隣にはいつも……赤い髪の女性がいた。
辛い時も、楽しい時も、常に隣に居てくれたのが、その赤い髪の女性だった。
覚めないで欲しい。
その夢が愛おしくて……。
クソみたいな現実から、救って欲しくて……。
叶わない事と知っていながら、俺は夢だけを楽しみに生きる毎日を送っていた。
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