°*好き*。

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その日の帰り、悠香と柚梨は、大地のいる病院へ寄った。 「お兄ちゃん、意識戻ったんですよ!」 病院へ着くなり、昨日もこの場所にいた大地の妹が駆け寄ってきた。 速水美咲。小学6年生。 「えぇっ!」 悠香は驚きを隠せなかった。 「良かったね!早く会ってあげな?悠香!」柚梨は、悠香の手をとって喜んだ。 「私達はここで待ってるから。ちゃんと気持ち、伝えるんだよ!」 柚梨と美咲は気を使って、集中治療室の外で待っていてくれた。 足早に大地の元へと向かった。 「大地…」 まだ弱々しい大地。 でも、その笑顔は輝きを取り戻していた。 しかも、呼吸器から酸素マスクに変わっていた。 「悠香…何で?」 大地は驚いた様子で尋ねた。 ――ちゃんと気持ち伝えるんだよ!―― 柚梨の言葉に押されて、勇気を出した。 「大地、私中学入学のときから大地のことが好きなんです!」大地は驚いた様子で悠香を見た。 「…俺も。」 悠香が大地を見つめると、大地は恥ずかしそうに目線を反らした。 「これからは、どんなときもそばにいるからね。」 悠香は大地の手を、強く強く握った。 大地は優しく微笑みかけて、「ありがとう。」と言った。 少し照れて、赤くなった大地が可愛かった。 柚梨と美咲は、こっそり陰からその様子を見ていた。 「良かったー。」 柚梨は、嬉しそうに美咲に微笑みかけた。 今日、私は一歩を踏み出せました。 この幸せが、永遠でありますように。 そして、この幸せが輝きますように。
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