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次の日、大地の容態が急変したと、美咲から連絡がきた。
悠香は急いで、病院に向かった。
「お兄ちゃんの意識がまたなくなったの!」
病院に着くと、美咲が泣きながら悠香に言った。
「…大地。」
悠香の目から、涙がこぼれ落ちた。
悠香はすぐさま、大地の元へと向かい、眠っているような大地に向かって叫んだ。
「大地!昨日約束したじゃない!絶対来てねって、言ったでしょう?だから来たよ!ねぇ!」
興奮して騒ぎ立てる悠香の手を、大地のお母さんは強く握った。
「悠香ちゃん、大地なら大丈夫。だから落ち着いて!」
悠香は、その言葉で静かになった。
「大地は明日、緊急手術をする。そうすればまた意識は戻るから。」
この病院医師である大地のお父さんが、悠香の真っ正面に立って言った。
「それなら治るんですね?」
悠香は、強い眼差しを大地のお父さんに投げた。
「70%の確率で。」大地のお父さんは、冷静に答えた。
「じゃあ残りの30%は?100%の方法は?」
「残念ながら、最善の方法で70%なんだ…」
悠香は、言葉に詰まった。
もし、神様が大地の命を取り上げたら?
70%成功したとしても、30%は?
「大地を必ず助けて下さいね。」
悠香は、俯きながらそっと言った。
大地のお母さんは、不安そうな顔を笑顔に変えて、言った。
「明日は、大地にとっても悠香ちゃんにとっても大切な日よ。だから明日、来てくれる?」
「はい。」
大地、何で幸せはこんなにも続かないのかな?
人生は山あり谷ありって言うけど、山ばかりだね。
これを乗り越えたら、幸せが待っているよね。
一緒に乗り越えよう。
2人なら、大丈夫。
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