°*続かない幸せ*°

2/3
前へ
/11ページ
次へ
次の日、大地の容態が急変したと、美咲から連絡がきた。 悠香は急いで、病院に向かった。 「お兄ちゃんの意識がまたなくなったの!」 病院に着くと、美咲が泣きながら悠香に言った。 「…大地。」 悠香の目から、涙がこぼれ落ちた。 悠香はすぐさま、大地の元へと向かい、眠っているような大地に向かって叫んだ。 「大地!昨日約束したじゃない!絶対来てねって、言ったでしょう?だから来たよ!ねぇ!」 興奮して騒ぎ立てる悠香の手を、大地のお母さんは強く握った。 「悠香ちゃん、大地なら大丈夫。だから落ち着いて!」 悠香は、その言葉で静かになった。 「大地は明日、緊急手術をする。そうすればまた意識は戻るから。」 この病院医師である大地のお父さんが、悠香の真っ正面に立って言った。 「それなら治るんですね?」 悠香は、強い眼差しを大地のお父さんに投げた。 「70%の確率で。」大地のお父さんは、冷静に答えた。 「じゃあ残りの30%は?100%の方法は?」 「残念ながら、最善の方法で70%なんだ…」 悠香は、言葉に詰まった。 もし、神様が大地の命を取り上げたら? 70%成功したとしても、30%は? 「大地を必ず助けて下さいね。」 悠香は、俯きながらそっと言った。 大地のお母さんは、不安そうな顔を笑顔に変えて、言った。 「明日は、大地にとっても悠香ちゃんにとっても大切な日よ。だから明日、来てくれる?」 「はい。」 大地、何で幸せはこんなにも続かないのかな? 人生は山あり谷ありって言うけど、山ばかりだね。 これを乗り越えたら、幸せが待っているよね。 一緒に乗り越えよう。 2人なら、大丈夫。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加