三笠ミサキ

1/5
2人が本棚に入れています
本棚に追加
/15ページ

三笠ミサキ

 新学期が始まってから一週間がたったある春。  美術部の活動が臨時休止になったからか、同じ部活同士の女子高生の二人が、喫茶店に寄り道していた。 「富田ちゃん、本当?オーディオメディアチャンネルEXのDVDをくれるの?」 「だぁって~、友達じゃない。水臭いな~ミサちゃんはぁ。アタシんとこは衛星放送録画出来るのだから、楽しみにしといて。約束はちゃんと守るから」 「恩にきます!!感謝、感謝の大感謝!!」 「ははは!!アタシにマッカせなさぁ~い!!」  翌朝、学校で美術部の教室前で待ち合わせた二人。 「ミサちゃんおはよ!」 「はあはあ……富田ちゃん、ハヨ!ゴメン、待った。朝、ちょっと寝坊しちゃって」 「メールで決めた待ち合わせ時間がジャストだから許す。てか、また寝坊?五月病はまだ早いよ~、コラァ」 「エヘヘヘ」  ミサキは衛星放送番組の録画ディスクを手に取るなり、さっとカバンの中に収容したのだった。
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!