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「先生。ぼく、おかしいんです」
「と、いいますと?」
「それが、わからないんです」
「はい?」
「ぼくのなにがおかしいのか、全くわからないんです」
「……」
「なにかがおかしいのはわかるんですけど、それがなんなのか、全然わからないんです」
「なるほど……。全く事情は飲み込めないが、無理矢理わかったふりをして話を続けよう」
「そうしていただけると助かります」
「それで、具体的に私にどうして欲しいのだね。私は外科医であって、精神的な病は専門外なのだが」
「ぼくがどこがおかしいのか、ぼくのおかしな部分を見つけて欲しいんです」
「しかし、君にわからないなにかが、私にわかるわけがないだろう」
「そこをどうにかしてもらうために、わざわざ病院にまで足を運んだんじゃないですか」
「そうは言われてもねえ……。そもそも、君はなぜ外科にきたのかね」
「脳に異常があるのかもしれないと思ったからですよ」
「それは、君の判断かね」
「いえ。今朝行った病院の、精神科の先生に言われて」
「ほう。ということは、今日はもう病院を2つはしごしているということかね」
「いえ。ここで6つ目です」
「君は、冗談がうまいね」
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