ジュンヘ

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「ジュン…ジュン 聞こえる? しっかりして。」 誰かが 俺を呼んでいる。 俺は… 俺は、埋められたんだ。 ミート商会のあいつ 許さねぇ! だましやがって! ここはクマムシ組、資材置場の片隅だ。 あいつら、グルだったんだな。 わけもわからないうちに、身ぐるみはがされた俺は、首だけ出して、埋められちまった。 叫ぼうにも、口にはガムテープが貼られている。 いったい俺が、何をしたっていうんだ。 絶望的な気分で 俺は 助けを待っていた。 意識が朦朧として 死を覚悟し始めた時だった。 「ジュン しっかりして。 目を開けて 私を見て!」 聞いたことの無い 女の声だ。 俺は、うっすら目を開けて 女を見た。 眼鏡の無い俺の目では 女の顔の造作は さっぱりわからなかった。 「良かった。今 助けるわ。」 「あんたは 誰だ?」 ガムテープをはずされた俺は 真っ先に聞いた。 女は にっこり微笑んだだけで、何も答えない。 助かって安心したのか 俺は意識を失った。
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