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ザァァァァー………
とある町に降る豪雨。
「…」
俺と兄貴はこの時まだ生まれて10年も経っていなかった。
「あんた達がいるからうまくいかないのよ!!!…二度と私の前に顔を出さないで!!!」
「…」
知らない男と歩いて行く母親。
俺と兄貴が見たのは紛れも無い血の繋がった母親だ。
「行こうか龍騎(りゅうき)。」
「…うん」
大丈夫だと思った。
怖くないと思った。
兄貴だけは一緒にいてくれると思った。
「お前はここにいてくれ。……」
「うん、わかった」
兄貴も歩いて行った。
「…」
一人。
「…ぅっ…うぅ…」
母親も、兄貴も、俺を見捨てた。
何日も帰って来ない兄貴は俺を忘れてしまったのだろう。
「…何してるの?」
「!!…」
女に話し掛けられる、この時までは…
「……お母さん…兄ちゃん…おれをすてたっ…」
「…行く場所がないの?…なら、
3&9に入らない?」
「……すりー…あんど、ないん…?」
幼い俺は言葉の意味がわからなかった。
「そうよ。…科学武器強化センターって言うところに行くの。」
「……」
俺はポカンと口を開いたまま。
「…って言ってもわかんないわよね!来て!連れていってあげるわ!」
俺は女に手を引かれ、久しぶりに人の暖かさを感じた。
「!わぁっ…!」
「3&9に行ったらご飯食べさせてあげるわ!」
…まるで、俺を子供のように親しくしてくれた。
「!うん!!」
俺が出会ったのは今原理枝子(いまはらりえこ)。この頃はまだ20代だった。
そして、俺は時野龍騎(ときのりゅうき)。…今ではもう15歳。
これから出会う仲間は…これからな。
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