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橋本『確かに、他の職業に当てはめれば、商品 の売上を伸ばす事が目的ではないセールスマン なんて、まるで説得力ないもんな』
梅田『基本のストーリーラインがシンプルだか らこそ、例えば素材が勝負の塩ラーメンと同じ で、一見単純に見えて凄く難しいと思う。この 場合は主人公のロッキーのキャラが作品の全て で、それを観客が受け入れなければ作品は失敗 に終わるわけだから』
橋本『そう考えると、確かに序盤からの主人公 の見せ方は、かなり計算してるな。最初の場面 は場末の会場でのボクシングでの不様な試合、 ジムに顔出したら老トレーナーには相手にされ ず、仕事はヤクザの取り立て、そして後に恋人 になるエイドリアンの勤めるペットショップで 必死にジョークを飛ばして気を惹かせようとし てもほとんどシカトされる(笑)こう見てみると、 敢えて主人公の負の要素を見せて、それが逆に チャーミングな魅力に映る』
梅田『それと日本人には判りにくいけど、主人 公はイタリア系で、割りとブルーカラーの職業 についてる人が多いってイメージがアメリカに はあるから、観客のからすれば、自分たちと生 活水準が近いか、或いはそれより下の主人公の 姿に共感しやすいと思う。やはり先行きが不透 明で漠然とした不安感を抱いているのはどんな 人でも同じで、一般大衆なら尚更。そんな自分 たちと変わらない主人公が世界チャンピオンに 立ち向かってゆく、それは引きつけられるで しょう。大衆心理を凄く計算している』
橋本『又監督のジョン・G・アヴィルドセンと ゆう人は低予算の映画を作ってきた職人やから 見せ方上手いんよね。【ロッキーのテーマ】が 流れる中での主人公が街中を走る光景なんか、 スラム街の商店街を近所の人らに応援されなが ら抜けて、高台にある美術館の階段を駆け上が る、主人公が周りの期待を力に変えて、高みに 挑もうとする心境を台詞無しにビジュアルで見 せつける』
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