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それから、海外出張の時に父が使ったらしき
アイマスク。
みんな、今は用済み。
でも、やっぱり捨てられなくて
ここに住んでる。
そのことと、でもルーフィに
それを見られる事の恥ずかしさで
ちょっと、わたしは気持ちがふたつに揺れてた。
そのせいかどうか、屋根裏部屋の出窓から
外に出る時にサンダルをはいて。
思えば、それがキッカケ。
急な三角屋根に、ルーフィーを抱えて。
だって、誰か見てたら困るから。
ぬいぐるみが歩いてる、話してる、なんて。
魔法使いの館みたいに思われたりして。
先に、出窓の外にルーフィを置いて。
わたしは、サンダルを履いて
出窓を跨いだ。
そんな事、はじめて。
だから....
頭を外に出した時。
サンダルがつるり。
「いやぁーー!!、助けて、ルーフィー!!」
思わず、ルーフィーの名を呼んだ。
たぶん、これでわたしの人生も終わりだわ...
意外に冷静に、わたしはふんわりと
した気分で。
下には、おばあちゃんのトマト畑がある。
「うん、おちたら100%ジュースになれるな」
意外に近く、ルーフィの声を聞いて
わたしはびっくりした。
ルーフィの声は、わたしを抱きかかえた
イギリス青年のさわやかな口元から発せられていたから。
「....ルーフィ....?」
「うん、見られちゃったな。僕は、ルーフィ。
これが本当の姿なんだ。」
気づくと、ルーフィーは
さっきの、アウトドアシートに立って。
でも、シートはなぜか
魔方陣みたいな(よくしらないけど)光に輝いていて。
わたしの頭の上を良く見ると、さっきの紙風船がふわふわ。
気球みたいにわたしを吊り上げていた。
「....うん、僕のご主人はね、魔法使いだったんだ。
もう200年も前に、眠りについた。その、眠りを覚ます能力のある人を探しに、僕はここに来た。
僕の声が聞こえる、優しい心の持ち主をね。
それで、君に出会った。」
「ルーフィ....」
「うん、でも、見られてはいけない決まりだったんだ。
この姿を。
だから、しばしの別れ。
かならず、夏への扉を開いて
僕は帰ってくるから。それまで....おやすみ。」
「待って、いやよ、ルーフィーー!」
「....あ、あれ?」
わたしは、あたりを見回した。
わたしの部屋。
何も、変わった事はない。
「!」
ルーフィ、ルーフィは?
部屋を見回しても、あのぬいぐるみは無かった。
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