抜かずの祐貴

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祐貴は苦笑いをしていた。 教室へ向かおうとしていたが、三年に囲まれている。 「お前さんは…」 その中に1人、祐貴は見覚えのある顔を見つけた。 ガンテツである。この学園には先生とは別に【教官】と呼ばれるヤツがいる。 祐貴は、ふぅとため息をつく。 「なんでぇ?ガンテツ…」 ひどく面倒くさそうに祐貴が睨む。 「先輩に対してなんだ?その口の聞き方はよ?」 そういって、ガンテツは祐貴に近づく。 「それ以上…近づくと」 祐貴が、背中のバックに手をかけ鞘のついた木刀を取り出す…。 「こんな狭い場所で抜けるのか?あぁ?」 ガンテツは笑う。 確かに廊下は狭い…。 「試してみる…かい?」 祐貴も笑う。その笑顔には少し殺気が籠っているように思えた。 「この……」 ガンテツが一歩、踏み出した刹那であった。 祐貴の利き手が、木刀にかかると、一気に抜き去る。 「がっ?!」 祐貴とガンテツの立ち位置が入れ替わる。そして、ガンテツはもんどりうって、倒れた。 周囲はまるで水をうったように静まりかえる。 「居合いに使う刀は、な…普通のヤツより刀身がみじけぇのよ?」 本来、居合いに使う刀は、身長から、3尺(約90〓)引いた刀を使用する、祐貴の使う木刀も、また試合用の拵えも同様で、二尺四寸の拵えを使っている。 「さて」 祐貴はある場所に向かっていた。 「懺悔房」と呼ばれる独房の様な場所だ。 恐らく、逃げていった連中が誰が先生に報告し、懺悔房行きになるだろう。 祐貴は教室に行くまでもないと、そのまま懺悔房に向かった。
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