抜かずの祐貴

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懺悔房の入り口は体育館の横にある地下行きの階段を降りたとこにある。 祐貴はその入口に来ていた。 「よぅ、遅かったなツナヒゲ?」 ガンテツと同じ教官が現れる。軍服に竹刀を持っている。 「入れ」 ツナヒゲが重苦しい鉄の扉を開けると、そこには正に独房があった。 「それを…」 ツナヒゲが竹刀袋に手をかけようとした。 「風男子学園校則三の2条」 「武道組の道具はいかなるものでも本人以外…触れてはならない。」 祐貴は笑った。 「そういうこった」 そういって、独房に入る。 扉がゆっくりと閉まっていく。 祐貴は壁に竹刀袋を置いて、居合い刀を出し、壁掛け用の刀掛にそれを置き、近くに腰をおろすと先ほどガンテツと戦った鞘つきの木刀を隣に置いて、目を閉じた。 ここを出れるのは約一週間後、それまで飲まず食わずでいなければならない。 祐貴は瞑想を決め込んだ…。 しばらくはどうすることも出来ないし、することもない。 そう思っていた。 祐貴が懺悔房に入ってから、約数時間たった頃のことである。
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