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扉がゆっくりと開いた。
そこには、あの何でも屋の風男塾の顧問で祐貴の担任であるジャジィが立っていた。
「よぅ、わりぃね」
祐貴は少しおどけていった。
「また、ガンテツか…全くあいつもしつこいな」
祐貴は無言である。
「祐貴、仕事だ…今回は」
と、祐貴はそこに誰かの気配を感じた。
「もう1人いるみたいだね?誰だい?」
気配はおとこだ。
距離は、恐らく鉄格子の外にいる。
殺気は感じない。
「新しく風男塾に入部した愛刃健水だ」
ジャジィが告げる。
「ほぅ」
「君は?」
健水が祐貴に話しかけた。
「俺か?転入生」
ゆっくりとした動作で、立ち上がる祐貴。
壁掛けに置いてある居合刀を取る。
「鍵をあけるから待ってろ?」
ジャジィが鉄格子を空けようとするが、祐貴が首を横にふる。
「その、必要はねぇよ」
祐貴は深く腰をおろし、居合刀を構える。
「これぐらい、何時でも抜けだせらぁ」
気合い一閃。
健水の目の前で鉄格子が斬れる。
ゆっくりと。
鉄の落ちる音がした。
見れば、鉄格子は人ひとりぶんの穴を明けていた。
「俺の名は祐貴、転入生、お前さんも名前くらい聞いたことあんだろ?」
祐貴が笑う。
刀は既に鞘に収まり祐貴の腰に収まっていた。
「抜かずの祐貴…」
健水はそういった。
祐貴は悠々とバックを片手に外に出る。
「おうさ、転入生くん?」
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