愛しい

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わたしは辺りを見回して知っている人はいないか、と探した。 すると加藤くんが同じく椅子に座っている姿が目に入ってきた。加藤くんの隣には同じクラスの橋本くんもいた。二人以外にも男子は何人かいた。 吹奏楽部に興味あるのか…と、不思議そうにながめてから部長を見た。 部長の合図とともに1年はパートについて、わたしも若菜と別れてテナーサックスに行った。 私立高校だからやはり楽器はどれもピカピカ。 中学では結構古い楽器を使っていたから、わたしにとっちゃ天国みたいなもの。 テナーの先輩と見られる男子が、わたしの手をひいて椅子に座らせた。 先輩は神山仁といい、サックス軍(ソプラノ、アルト、テナー)のパートリーダー。 仁先輩は綺麗な顔立ちで人気者だった。 「中学でもやってた?」 「はい」 「じゃあ、大丈夫かな?もうそのまま吹ける?」 コクりと頷くと仁先輩は綺麗なテナーとストラップをわたしに渡してくれた。 ゴールドブラスのテナーにストラップをひっかけて音を出してみた。 いままでより透き通った音色が出た。 「すごいよ」 仁先輩はそう言ってくれた。 その一言でわたしはほっとしていた。 すると加藤くんがテナーのとこにやって来て、わたしの隣に座った。 加藤くんも経験者らしくすぐに楽器をてにしていた。 .
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