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無事入学式は終わってわたしたちの担任は大林先生。
ラグビー部の顧問だそう。
見た目はちょいこわだけど、生徒からは人気者。
変な先生じゃなくてよかった。
再び教室に戻って10分の休憩。
わたしは若菜のとこに行った。
するとチラッと誰かと目があった。
彼だ。
ト音記号男子。
ざわざわとなる教室。
ほとんどの女子がト音記号男子を見ていて、なんだか獲物を捕らえようとしているようだった。
ト音記号男子はわたしのほうにやって来る。
思わず立ち止まってしまうわたし。
少し笑った彼の顔はかっこよくて、またわたしは見とれてしまっていた。
「今朝以来だね」
彼はポケットに手を突っ込んだまま、わたしに話しかけた。
「…あ…はい…」
「俺、加藤孝介だから」
「え…っと…わたしは永井理保です」
「敬語じゃなくていいよ。クラスメイトなんだし、ね」
わたしはコクりと頷くとほとんどの人が私たちを見ていることに気づいた。
わたしは加藤くんに軽く礼をしてその場を離れた。
これが出逢いだった。
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