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闇を狩る者
赤い世界――
視界に入るなにもかもが、真っ赤に染まっていた。
痛みはなかった。
否――正確に言えば、全ての感覚という感覚が、もはやマヒしていた。
怒り、悲しみ、
そして恐怖――
単純だがとても強い感情が、遠のく意識を辛うじてこの場に留めていた。
全ての意識が向かうのは、ただ一点――。
この赤い世界で、染みのようにポツンと浮かび上がる黒い影。
胸に刻まれた、決して消えぬその名は――
――“悪夢”
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