闇を狩る者

8/29
前へ
/136ページ
次へ
しかし、さすがに数が多く、何匹かは撃ちもらし、森の奥へと逃げられてしまった。 全滅させるつもりだったディーは、舌を打ち、渋々、銃を納めた。 ここで深追いし、むやみに森に入るのは、あまりに無謀だろう。 それに、少々、気になる事もある。 「あっちは確か、悪魔の沼……」 魔物の飛び去った方向を見つめ、シグマがつぶやいた。 「悪魔の沼?」 「この森の奥に、悪魔が封印されていると言われている沼があるんだ。奴ら、まさかそこから……」 不安げな視線を向けたまま、彼は答えた。 それにつられるように、ディーもまた、森の奥を見据える。 薄暗いその中に、異質な『何か』が不気味に蠢いている気がした。
/136ページ

最初のコメントを投稿しよう!

125人が本棚に入れています
本棚に追加