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再び慌てて家の中に戻る母親。
なんだか、おもしろそうだなー。と、健斗も後を追うことにする。
「お父さんもいこう」
犬に声をかけ、健斗は靴を揃えて家に上がった。
お母さんに怒られるからと、犬の足を拭いてあげることも忘れない。
それからバタバタと廊下を走って、健斗が向かったのは居間だった。
母の話し声が聞こえたのだ。
こっそり除くと、中で母親が電話している。
「――もしもし。あなた、いつこっちに帰って来たの!?」
電話の相手が誰なのか分からないが、母親は怒っているらしい。
それに首を傾げて、健斗は犬に問いかける。
「お母さんどうしたんだろうね?」
問いかけるが、犬も首を傾げるだけだ。
首を傾げる一人と一匹の前で、母親が怒鳴る。
「もう、お父さん!!」
叫んだ母親の声に応えたのは、黒い犬だった。
健斗の隣に堂々とした姿で立つ様子は、まるで――犬だからなんだ。俺はこいつの父親だぞ。とでも言っているようだった。
さてさて、これから山下家はどうなることやら……
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