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───そして数分後。
龍「いただきます」
リビングに出た僕は、早速用意されていた朝食を食べ始める。
麗華が言うには、全部自作なんだって。
───パクッ
うん、やっぱり凄く美味しい。
・・・因みに、いつも朝食は母さん───『立川 楓』が作ってくれるんだけど、今日は朝早く何処かへ出かけたから、作ってくれなかった。
ま、あの人は結構放浪癖があるし、仕方ないね。
そう考えながら、味わって朝食を食べる。
麗「・・・そういえば、前に優花から聞いたのですが、貴方の一人称、小学校までは僕で、中学からは俺にしたらしいですわね?
しかし、何故それを以前の僕に変えましたの?」
そんな時に、麗華が突然尋ねてきた。
麗華の質問を聞いた僕は、一旦箸を止めて、麗華の顔を見て、話し始めた
龍「・・・小学生の頃、男っぽくないって理由で、僕は虐められていたんだ。
けど、必ず優花と藍が守ってくれた。
助けてくれた時は嬉しかったけど・・・その反面、悔しかった。
逞しくなりたいって思ったんだ。
だから、その時から武術を学んだり、中学から一人称を、俺に変えた。
───気付けばそして、僕を虐める人はいなくなった。
その状況に満足しながら、高校に入った時・・・僕は1人の男子に出会った。
喧嘩は強くないけど、心が強くて、僕が困った時は必ず助けてくれた。
そんな彼と過ごして1年が経った時───春休みの時に気付いたんだ。
───彼は、僕の理想の姿である限り、彼にはどうやっても届かない事に。
それと同時に、こう思った。
彼には、本当の僕を見せなければならないと。
彼と、本当の友達になりたかったから。
だからまずは、一人称を僕に戻したんだ。
それが、僕のありのままの姿だったからね」
最後にニコッと笑って、僕は話を終える。
話を聞き終えた麗華は、その場で俯いてしまった。
龍「・・・ひとまず、早く食べようか」
麗「・・・そうですわね」
少しもやもやした雰囲気が漂う中、黙々と朝食を食べた。
───それから数分後。
龍「ごちそうさまでした」
麗「お粗末さまですわ」
僕と麗華は、無事朝食を食べ終えた。
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