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「あらあら、傷口が完全に開いちゃってるわね」
数人のナース達が手際よくガーゼを変え、消毒やらなにやら済ませた。
血も大分収まってきたし、騒ぐ程のものでもなかった。
「忍さん、私達がいいと言うまで、左手は何かを掴んだりしてはダメですよ?
右手の方はもう大丈夫でしょうが、腕はまだ骨がくっついてないので、くれぐれも無茶なんかしないように」
ナースの咎めるような口調に、苦笑しながらもはいと言った。
「ご家族の方も、忍さんの療養の邪魔は厳禁ですよ?」
それだけ言うと、ナース達は病室を去った。
「母さん、季穂、俺…。
疲れたから寝る」
何かを話したそうな面持ちだったが、俺は疲れたんだ。
だから寝る。
話なんて、後でいくらでも出来るだろうから…。
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