首の輪を求め

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太陽が、影を地面に抑えこむ時刻、正午 俺は空を見上げていた。 正確に言うと、斜め右横を見つめていた。 そこには、壁も無いのにドコから浮かんでいるか分からないロープがある。 今ここに見えるのは、澄み切った青いキャンバスのような空と、 横に浮かんでいるロープだけだ。 すると一一 何処から湧いて出たのか太り気味の一人の中年男が、小走りにこちらに向かって来た。 顔には、汗が浮かび息使いが荒い。 そして男は何を思ったかは知らないが、浮かんでいるロープに手をかけ、輪を作る。 手慣れたその動作に俺は呆然としつつ、男に質問する。
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