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だが、今それを見る者はおらず…
叱られた右手は反省しているのか指先を丸めるとパッと消えてしまったではないか。
右腕の関節から下が急に無くなったのだ。
だが春長は驚きはしない。
そのまま袖口に手を突っ込むと関節部位に絡み付いていた金色の毛を一本掴み、ふうっと息を吹き掛けてどこかへ飛ばしてしまった。
「…おい、コン!いい加減にしねぇか!」
春長が誰もいないはずの部屋で声を出すと、今度は春長の目の前に人魂が現れた。
人魂は次第に大きくなり、人の形を取ったと思えば狩衣姿の青年になった。
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