陰陽師

4/28
前へ
/59ページ
次へ
青年は春長が吹き飛ばした毛と同じ金色の髪をしていて、その頭には狐を思わせる大きな耳が生えている。 そして春長を見つめるとニヤリと笑って 「お前様がいつまでも眠っておるから起こしてやったのではないか」 と手にした扇子をゆっくりと扇いだ。 「それが余計なお世話だってんだ…!おかげで目覚めちまったじゃねぇか」 春長は着流しをさらに崩して風を送ろうとするが、風のない部屋ではそれも無意味なこと。 ただ流れ出る汗を増やしただけだった。 「ったく…お前の格好を見てると余計に暑苦しい」 「そう言われても、儂は暑さは感じぬからの」
/59ページ

最初のコメントを投稿しよう!

126人が本棚に入れています
本棚に追加