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青年は春長が吹き飛ばした毛と同じ金色の髪をしていて、その頭には狐を思わせる大きな耳が生えている。
そして春長を見つめるとニヤリと笑って
「お前様がいつまでも眠っておるから起こしてやったのではないか」
と手にした扇子をゆっくりと扇いだ。
「それが余計なお世話だってんだ…!おかげで目覚めちまったじゃねぇか」
春長は着流しをさらに崩して風を送ろうとするが、風のない部屋ではそれも無意味なこと。
ただ流れ出る汗を増やしただけだった。
「ったく…お前の格好を見てると余計に暑苦しい」
「そう言われても、儂は暑さは感じぬからの」
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